営業やマーケティングの仕事を続ける中で、「副業」という選択肢が気になり始める方は少なくありません。収入を少し増やしたい、社外でも通用する経験を積みたい、将来的にフリーランスという働き方も視野に入れたい。理由はさまざまですが、いざ副業案件を探そうとすると、手が止まってしまうケースも多いようです。
案件サイトを開いてみたものの、「自分にできそうな案件が分からない」「エンジニア向けばかりに見える」と感じた経験がある方もいるでしょう。
本記事では、営業・マーケ職が副業案件を探すときに、具体的な探し方に入る前に整理しておきたい「考え方」に焦点を当てます。案件の良し悪しを判断するための前提を整えることが目的です。
なぜ営業・マーケ職は副業案件探しで迷いやすいのか

迷う理由1:スキルが分かりやすい形になりにくい
営業やマーケティングの仕事は、成果が数字として表れる一方で、「何を提供できる人なのか」を短い言葉で説明しにくい側面があります。
エンジニアであれば開発言語や領域、デザイナーであれば制作物といったように、スキルが比較的明確です。一方、営業・マーケ職の場合、「営業経験5年」「マーケ担当」といった肩書きだけでは、案件として何を任せられるのかが見えづらくなります。
その結果、
- どの案件に応募すべきか分からない
- 自分は副業に向いていないのではないかと感じる
といった迷いが生まれやすくなります。
迷う理由2:案件の幅が広く、正解が分かりにくい
営業・マーケ職向けの副業案件は、業務内容や関与の深さが案件ごとに大きく異なります。戦略設計から入るものもあれば、実務の一部だけを切り出したものもあります。
そのため、「副業として無理のない案件なのか」「期待されている役割はどこまでか」を読み取るのが難しく、判断に時間がかかりがちです。
案件を探す前に整理したい前提条件

副業の目的をはっきりさせる
最初に考えたいのは、「なぜ副業をしたいのか」という点です。
例えば、
- 毎月の収入を少し補いたい
- 社外でも通用する経験や実績を作りたい
- 将来の独立を見据えて準備したい
目的によって、選ぶべき案件のタイプは変わります。短期的な収入を重視するのか、多少効率が悪くても経験を優先するのか。この軸が曖昧なまま案件を探すと、後から「思っていたのと違った」と感じやすくなります。
使える時間と制約を現実的に見積もる
副業はあくまで本業が優先です。そのため、以下のような点を事前に整理しておくことが重要です。
- 平日は何時間使えるか
- 土日は稼働できるか
- 繁忙期でも継続できるか
「理想的に空けたい時間」ではなく、「確実に出せる時間」を基準に考えることがポイントです。ここを甘く見積もると、本業との両立が難しくなり、結果的にどちらも中途半端になってしまいます。
営業・マーケ職のスキルをどう捉え直すか

職種名ではなく「業務単位」で考える
副業案件では、「営業ができる人」「マーケが分かる人」ではなく、より具体的な業務単位で人を探しているケースが多く見られます。
例えば営業職であれば、
- 見込み顧客リストの作成
- 営業資料やトークスクリプトの整理
- 商談への同席や壁打ち
マーケ職であれば、
- 数値の集計・レポート作成
- 施策案の整理
- 既存施策の改善提案
といった形です。自分の経験をこうした業務レベルに分解することで、「任せられる仕事」として案件に当てはめやすくなります。
再現性がある経験かを考える
副業案件では、「その会社だからできた成果」よりも、「他の会社でも再現できるかどうか」が重視されます。
- どんな課題があり
- 何を考えて
- どう進めたのか
このプロセスを説明できる経験は、副業案件でも価値を持ちやすいです。実績の大小よりも、言語化できるかどうかが一つの判断軸になります。
案件を見るときに意識したい視点

単価だけで判断しない
副業案件を探し始めると、どうしても報酬額が気になります。ただし、単価が高い案件ほど、求められる責任や稼働量も大きくなる傾向があります。
- 業務範囲が曖昧ではないか
- 稼働時間の目安が現実的か
こうした点も含めて見ないと、「思った以上に負荷が高い」という事態になりがちです。
クライアントの期待値を想像する
案件内容を見たときに、「なぜこの業務を外に出しているのか」を考えてみることも有効です。
課題や目的が比較的はっきりしている案件は、進めやすい傾向があります。一方で、期待値が曖昧な案件は、後から役割が広がりやすく、副業には不向きな場合もあります。
営業・マーケ職に多い失敗パターン
いきなり理想的な案件を探してしまう
「せっかくやるなら高単価で」「戦略から関わりたい」と考えるのは自然ですが、最初から理想条件をすべて満たす案件に出会えるとは限りません。
初期段階では、
- 業務範囲が限定されている
- 稼働時間が明確
といった案件の方が、結果的に経験を積みやすいケースもあります。
本業とのバランスを崩してしまう
副業に前向きになるあまり、本業のパフォーマンスが落ちてしまうと、本末転倒です。副業は「続けられる形」であることが前提になります。
小さく始めるという選択肢
営業・マーケ職の副業は、最初から大きく広げる必要はありません。
- 月数万円規模
- 限られた業務内容
- 明確な稼働条件
こうした案件から始めて、自分に合う形を探っていく方が、長期的には安定しやすい傾向があります。
まとめ
営業・マーケ職が副業案件を探すときは、「どこで探すか」よりも先に、「どう考えるか」を整理することが重要です。
- 副業の目的を明確にする
- 現実的な制約条件を把握する
- スキルを業務単位で捉え直す
これらを意識するだけでも、案件の見え方は大きく変わります。焦って行動するよりも、判断軸を整えた上で一つずつ選択肢を検討していくことが、納得感のある副業につながります。
副業・フリーランス全体の考え方は、こちらで整理しています。
また、案件を受ける前に、契約面の注意点も確認しておくと安心です。

