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副業で業務委託契約を結ぶときの注意点|会社員が確認すべきポイント

副業として業務委託契約を結ぶ会社員が増えています。一方で、「契約書をよく読まないまま始めてしまった」「思っていた働き方と違った」といった声も少なくありません。

業務委託契約は、雇用契約とは仕組みが大きく異なります。本業に支障を出さず、無用なトラブルを避けるためには、契約内容を事前に理解し、確認すべきポイントを押さえておくことが重要です。

本記事では、会社員が副業で業務委託契約を結ぶ際に、最低限確認しておきたい注意点を整理します。

業務委託契約とは何か|雇用契約との違い

業務委託契約とは、特定の業務や成果物の提供を約束する契約形態です。会社員として結ぶ雇用契約とは、次の点で大きく異なります。

項目雇用契約業務委託契約
働き方指揮命令を受ける原則として自己裁量
労働時間管理される管理されない
報酬給与業務報酬
社会保険原則加入原則自己負担
労働法の保護ありほぼなし

副業での業務委託は、「会社に雇われる」のではなく、「個人として仕事を請け負う」立場になります。この前提を理解していないと、契約内容への認識ズレが起きやすくなります。

注意点① 業務内容と成果物の定義が曖昧でないか

まず確認すべきは、「何をどこまでやる契約なのか」です。

確認したいポイント

  • 業務範囲が具体的に記載されているか
  • 成果物(アウトプット)が明確か
  • 「付随業務」「その他必要な業務」など、際限なく広がる表現がないか

業務委託契約では、業務内容が曖昧だと、後から追加作業を求められやすくなります。本業との両立を考える会社員にとって、業務範囲の明確さは特に重要です。

注意点② 報酬条件と支払い方法を必ず確認する

報酬に関する条件は、トラブルが最も起きやすいポイントです。

確認すべき項目

  • 報酬額(固定/時間単価/成果報酬)
  • 支払いタイミング(月末締め翌月払いなど)
  • 支払い方法(振込日・手数料負担)
  • 消費税の扱い(税込・税別)

特に副業初心者の場合、「思ったより入金が遅い」「手数料を差し引かれていた」と感じるケースがあります。金額だけでなく、いつ・いくら・どの形で支払われるのかまで確認しておくことが大切です。

注意点③ 稼働時間や拘束条件が実質的な雇用になっていないか

業務委託であっても、以下のような条件がある場合は注意が必要です。

  • 毎日決まった時間に稼働を求められる
  • 業務の進め方を細かく指示される
  • 他の仕事を制限される

これらは「偽装請負」と判断される可能性がある要素です。会社員として副業をする場合、過度な拘束は本業にも影響します。「業務委託なのに、ほぼアルバイトのような働き方になっていないか」という視点で契約書を確認しましょう。

注意点④ 契約期間・解約条件を確認する

業務委託契約には、契約期間や解約条件が定められています。

よくある確認不足

  • 契約期間が自動更新になっている
  • 解約に◯ヶ月前通知が必要
  • 一方的な即時解約条項がある

副業は、本業の状況や生活環境によって続けられなくなることもあります。「辞めたいときに、どのような手続きが必要か」は必ず確認しておきましょう。

注意点⑤ 秘密情報・競業避止条項の範囲が広すぎないか

契約書には、秘密保持や競業避止に関する条項が含まれることがあります。

注意したい点

  • 競業避止の期間が長すぎないか
  • 業界全体を禁止対象にしていないか
  • 本業と競合する可能性がないか

副業の場合、本業の会社との関係にも影響する可能性があります。内容が広範すぎる場合は、そのまま受け入れる前に慎重に検討する必要があります。

注意点⑥ 会社の副業規定と矛盾していないか

契約内容だけでなく、自社の副業規定との整合性も重要です。

  • 業務委託契約が副業として認められているか
  • 競合禁止に抵触しないか
  • 届出や申請が必要ではないか

契約自体に問題がなくても、社内規定違反になるとトラブルになりかねません。副業開始前に、必ず社内ルールを確認しておきましょう。

注意点⑦ 再委託条項の有無と条件を確認する

業務委託契約の中には、「再委託(第三者への業務の引き渡し)」に関する条項が含まれていることがあります。

再委託条項とは

再委託条項とは、受託した業務を自分以外の第三者に任せてよいかどうかを定めたものです。契約によっては、

  • 再委託を一切禁止している
  • 事前の書面承諾があれば可能
  • 条件付きで一部のみ可能

といった形でルールが定められています。

会社員の副業では特に注意したいポイント

副業の場合、「自分が手を動かす前提」で契約を結んでいるケースがほとんどです。そのため、再委託が禁止されていること自体は珍しくありません。ただし、以下のような点は事前に確認しておく必要があります。

  • 一時的に業務を他人に手伝ってもらうこともNGか
  • ツール操作や事務作業の一部を外注できる余地があるか
  • 再委託違反時のペナルティが明記されているか

副業を続ける中で、「思ったより作業量が多い」「本業が忙しくなった」と感じることは十分あり得ます。その際に再委託が完全禁止だと、柔軟な対応ができなくなる可能性があります。

再委託NG=悪い契約、ではない

再委託が禁止されているからといって、必ずしも不利な契約というわけではありません。特に専門性や個人のスキルを前提とした業務では、再委託不可が一般的です。

重要なのは、「自分一人で最後まで対応する前提の契約だ」と理解した上で受け入れているか、という点です。

再委託条項は見落とされやすい部分ですが、働き方の自由度に直結します。契約書に記載がある場合は、必ず内容を確認しておきましょう。

業務委託契約は「納得して結ぶ」ことが何より重要

副業で業務委託契約を結ぶこと自体は、決して特別なことではありません。しかし、雇用契約と同じ感覚で進めてしまうと、想定外の負担やリスクを抱えることになります。

  • 業務内容は明確か
  • 報酬条件は納得できるか
  • 本業との両立が可能か

これらを一つずつ確認し、「この条件なら続けられる」と判断できてから契約を結ぶことが大切です。副業はあくまで選択肢の一つです。無理なく、現実的に続けられる形かどうかを見極めた上で、業務委託契約と向き合いましょう。

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